リオール通信151号ー2012年9・10月合併号より
≪歴史に胡坐をかくな・・・≫-85-
先日創業から100年以上の歴史を持つメーカ―さんの常務にお会いしました。今期の研修にあたり、改めて経営陣として会社の意向と今後の課題などお聞きしました。
「ここ近年の社会情勢の中で、わが社もさらなる変革の時を迎えている。長い歴史の中で、メーカーとしての技術は特殊なモノを持っていて、海外工場も大きな市場を支えている。でも、メーカーの宿命ともいえる後からの追随の中で進化を問われ続ける。 その危機感は、わかりやすく伝えているつもりでも、下にいけばいくほど、なかなか伝わっていないのが現状。下に伝わらないのは、上が伝えることができていないし、上が一番危機感を持っていないのかもしれない。 部門長会議でもなかなか意見が出てこない・・・もしかしたら、やるべきは上なのかもしれないね。」
・・・と、なかなか火がつかない管理者たちに苛立ちを感じていらっしゃるようでした。自分も含め、上が一番変らなきゃいけないんだよね・・・というようなお話をしてくださいました。
長い間 安定して伸び続けた中で育った管理職、これまでのやり方を変える事がなかなかできない人も多いのかもしれません。実は、そこまでの歴史をもたなくても、どこでも共通する問題であると感じます。
教育会社時代から今も変らないなと思うのは、実務研修やスキル研修を除く 基本的マインド研修は新人や初級管理者クラスまでが対象になっています。理由は、「もう今さら上をやっても・・・」とか「上はそんなことはわかっているはず、もっとやるべきことがある」でしょうか。
でも間違いなく下はいいます。「これを上司にやってほしい!」と。(マインド研修とは、マナー研修ではなくその組織人としてのあり方、個のあり方、その中でwin-winの関係でいかに目指すめきところに向かうか、個としてどう貢献するかなども含めます。)
人としてのあり方や、自組織人としてのあり方は、常にどの研修の根底にも流れていなければ、会社風土として根付いてはいかないことはわかっているはずでしょうが、なかなか取り組む会社・組織は少ないものです。
やり方の問題だけだと思うのですが・・・研修を最終決定する上はやりたがらない。しかし別の見方をすると、あの3・11の東日本大震災と原発事故は、私たち日本人の暮らしと意識・価値観に大きな影響を与えました。これまでとは違う考え方・生き方・社会や経済のあり方が、会社や組織での働き方へも影響を与えているのは否めません。
これまでの会社主導のキャリア開発が、本当の意味での個と組織が共存するキャリア開発が必要になってきたと嬉しさもあるのですが・・・。 会社や組織の歴史を支えてきた上級管理者だからこそ、これからの時代を支えていく若者を育てる為にも、いつまでも上が胡坐をかいていてはいけないという押し迫る時代の変化を感じました。報恩感謝。