未来を切り拓く力を育む教育に活かしたいアドラーの教え

2023.08.19

先日、8月18日、広島市立 基町高等学校  教員資質向上研修に登壇させていただきました。
『「心配」を「信頼」に変える勇気づけ』〜未来を切り拓く力を育む教育に活かしたいアドラー心理学〜

をテーマにお話しさせていただきました。

 

 

夏休みとはいえ、多忙を極める中での一時間をいただきました。ずっとこの機会が欲しいと願っていたので本当に嬉しい時間でした。スタート前、校長先生と短い面談の時間をいただきました。(基町高校といえば、文武両道の県内でも優秀な生徒が集まる有名進学高校です。)

 

 

各中学校で優秀な成績だった生徒たちが、大勢の中に入ると平均値で自信を失ってしまい自己肯定感が極度に低下してしまったり、逆に成績優秀な生徒は、そこだけを拠り所にしていたりの現状への心配もされていました。長い人生の通過点である高校生活は、進学することがゴールではないので、ここで何を学んでくれるかは常に教育の中でも問われるところだと。それを意識した上で、どう向き合っていくかのヒントを話していただきたいと要望でした。

私にできるのは、新たな一歩への『キッカケ』の提供だけです。教えるのではなく、あくまでこの時間をこれからより良い高校へと進化し続ける教育の姿を模索していただく一石となれば嬉しいです。

 

 

アドラー心理学は多くの教員の方はご存知です。ただ、学問として学ばれているので「アドラーは難しい」と話される教師の方もいらっしゃいます。お伝えしたいのは、学問としてではなく、「使用の心理学」としてどう使うかです。その基本ベースとなるアドラー心理学の思想と目指すところはお伝えした上で、未来を生きる生徒たちが多様性とあり方を問われる社会の中で生き抜いていく力を育てていただきたいと願いながらお話ししました。

何よりまず、厳しい現場の数々の課題と向き合う先生方への勇気づけになるようにと願い、多感な思春期脳が成長のための性ホルモンの働きで、ネガティブに反応しやすいことや、揺れ動きイライラしたり感情が乱高下する理由がわからないことなどもお伝えしました。彼らが欲しいのは、指導でも指摘でもなく『信頼』であることも

 

 

教員のみなさんへの3つの質問ワークは、ポストイットに記入いただきグループシェア。
一つ目は、「生徒たちにどんな大人になって欲しいと思っていますか」
二つ目は、「あなたの教育における目標は何ですか?」
三つ目は、終了時に「今日の学びのキーポイント」を書いていただきました。

 

 

難しい質問だね〜と声も上がっていましたが、ここ無くして何を目指すのか・・・なんです。教育現場の厳しい状況も理解しつつ、ご自身の目指す教育のあり様と学校の目指す目標の一致「MOTO design」のために、対話を重ねながらより良い方向へ向かうことは、教育改革でも組織改革でも、何かプロジェクトを進める上でも欠かせないポイントだと考えています。

 

 

今の日本社会の中で、長く目標ありきで引っ張ってきて多くの人たちが心を病んでしまった現実があります。進学校であるがゆえに、先生方も結果を求められるのでしょうし、進学ありきになるとこぼれていく生徒が出てしまいます。指導する側も迷える生徒たちも、戻る場所(目的)を意識し直すことで、新たなやり方を模索することもできます。<その上で、今まさに迷いの中にある生徒たちとどう向き合うのか等、お話しさせていただきました。

 

 

そのシートは、何かしら活用していただきたいと願っています。そのコピーは後日いただけるので楽しみです。

 

 

終了後、校長先生から感想をいただきました。アドラーの考えを先生も生徒たちにも学ぶ時間をとればいいのだろうけれど、進学校でもあり、やらなければいけないカリキュラムも盛りだくさんある現実。また、少子化で学生数が減りつつある中で、若い教員採用がままならず加えて定年制度が60歳から65歳に変更されつつあること。経験の中でのたくさんの成功事例を持つ先生方の意識変革はなかなか厳しいのが現実でもあるとも話されていました。

 

 

これはきっと、同校だけの課題ではなく、今多くの学校が抱えている課題であるように思います。そして、企業も同様の悩みど課題解決を迫られている共通点のようです。

 

 

厳しい状況ではあるけれど、コツコツと学びながらやっていきます。今日、まさに『きっかけ』をいただきましたと。嬉しい言葉でした。今回お声かけいただいた教頭先生からは、「我が校の直面している課題課題についてズバリ指摘していただいたものであり、グサッと刺さりました。ワークシートを共有しより良い方向へ解決策を見つけていきたい・・」といただきました。向かっていかれるところは 「MOTO design」に明確にされているので、生徒たちの声、先生方の声を聞き、対話の中でより良い方向性へ向かっていけるはず。

 

 

正直に言えば、もっと先生方と対話をしながらお伝えする時間が欲しかった。それでも、この貴重な一時間の中で、お一人でも二人でも、共感していただきアドラーの教えを活用したいと思っていただけたらそれだけでも一歩前に進んでいます。貴重な時間をご提案した課題で真剣に取り組んでいただいた皆様に感謝です。

 

 

私が関わる人材育成の現場では、事あるごとにアドラー心理学の考え方を取り入れています。
アドラーは、【人々が幸福になるための重要な鍵を握っているのは、「子育て」や「教育」である。】と言っています。子育てのもの・・と捉えられがちですが、私はアドラー心理学の教えを、親はもちろん、企業・組織で、そして教育の現場に立つ先生方、当の子どもたちに知ってもらい使えるようになってもらいたい。

 

 

もちろんアドラー心理学だけで全てが解決するなんて考えていません。ただ、アドラーの教えを共通言語にして話し合うことで上手くいく小さなコミュニティが一つ増え、二つ増えしていくと、社会はもっと変わるはず。激変していく社会で一人ひとりが社会の一員として、共により良く生きるための考え方を対話しコミュニティーにとっての未来へ向けて今できることを共に見つけられるようになれば、醜い争いや孤立のない社会へ向かえると信じています。

 

 

今回、この出会いのキッカケを下さった学びのメンバーさんに感謝です。キッカケをつないでいき、また誰かにバトンを渡していく・・・それが今とても充実感を感じる時間です。本当にありがとうございます。

 

久しぶりのブログでした。最後まで読んでいただきありがとうございます。