GWから一週間。4月末から、五島列島を旅してきました。
広島より少し肌寒く、島の風が頬を撫でるたびに、五島の自然と歴史がそっと語りかけてくるようでした。
旅の始まりは、島に暮らす旅友の友人がアテンドしてくれた一日半。観光では出会えない、静かな物語に導かれるような時間でした。教会、石垣、武家屋敷通り。切なさと力強さが同居するこの島の風景は、人が生きてきた証を静かに映し出しています。
その中でも特に心に残った、ある一日をご紹介します。
半泊(はんどまり)という物語
波の音が静かに響く玉砂利の浜辺。そこに建つのが、五島つばき蒸溜所。
物語のある島に、物語のあるジンを──そう語るのは、元キリンの3人。彼らがこの地を選んだ背景には、半泊という集落の深い歴史があります。
キリシタン弾圧から逃れてきた十数戸の人々。半分は別の地へ、半分はこの半泊に。今では、わずか5世帯が暮らすのみの、ひっそりとしたエリアです。その中心にあるのが、なかもとのおばあちゃんが守り続ける小さな教会。濃い水色――「パライソブルー」とも呼ばれる壁と、100年前のヘリンボーン模様の床。小さな空間に、大きな時間の流れが宿っていました。
五島つばき醸造所
ゴトジンと、風景のアロマ
この教会のすぐそばで生まれる「ゴトジン」。五島の椿の種をキーに、ボタニカルごとに蒸留方法を変えて丁寧に仕上げられたジンは、まるで島の風景そのものを飲んでいるよう。
ツボミを模したカミャックグリーンのボトルも印象的。ひさしぶりのジンでしたが、五島の空気と物語に包まれて、ひと口ひと口が沁み渡りました。
「さとうのしお」でジブリのような時間を
蒸溜所の裏手に続く小道をのぼると、貝殻で飾られた焼き窯、そしてカフェスペースのある「さとうのしお」さんへ。
まるでジブリの世界に迷い込んだような、優しくて不思議な空間。いつかここで、朝焼けや夕日をただ黙って見つめていたい、そんな気持ちになりました。
人生マップのその先に
3年前に描き直した【私の人生マップ】。その続きを、私は今、五島で歩いていたのかもしれません。
物語のある場所、物語が始まる場所、そして想いを引き継いでいく場所。
島で出会った人々が紡ぐ風景と人生。そのすべてが、自分自身ともう一度向き合う時間をそっと手渡してくれたような旅でした。
風景が語る物語に耳をすませば、
・・・自分自身の物語が静かに動き出す。
考えるな・・・感じよ!わたし。
Morleyでした。