『終わった人』

2018.06.01

内館牧子さんの『終わった人』の映画化が決まりそのキャストが今日発表されました。
「定年」を描いた小説で日本中で大反響を巻き起こしたといいます。
ワーカーホリックとまでは言わないけれど(人はそう見ている気もするが・・・)
お互い仕事の話になると止まらない友が、入院中に読んで面白かったからと
貸してくれた本です。
面白くて半分までは読んで、さっき一気に読みました。
その友と今日会いお茶を飲みながら
「盛矢は定年は自分で決めれるけれど、私は終りの日がはっきり見える人なんよね」
とはいえ、彼女は理事として残る道は用意されている。
要は、雇われて生きるか、雇われないで生きるかの違いだけで、
どちらにせよ「終わった人」になる。
なんやかんや言ってはいても、誰でも外での仕事(外的キャリア)については
終りの時がくる。
その終りの後の本音と悲哀としつこいほどに書かれているけれど、
それに対して講談社に寄せられた読者カードは今までにないほどの数だったらしい。
「なんで男の気持ちがわかるのか」
「これは僕自身がモデルかと思った」と・・・。
これほどまでに、本音を突いているとは。
そして、主人公の妻の言葉や態度がありありと書き出されているから
大反響になったんだろう。
面白いと思う反面、自分自身の人生と仕事とは何だろうと改めて考えます。
主人公とは人生も全く違うけれど、他人事なんかでは済まないザワザワ感。
1956年に国連の世界保健機関(WHO)の定義で、
65歳以上を「高齢者」としています。
65〜74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。
不思議に思うのは、当時の日本人の平均寿命は65歳。
公務員やサラリーマンの定年は55歳・・・。
今は2018年、今や人生100歳時代。
女性はもとより、男性の平均寿命も80歳を超えています。
公務員やサラリーマンの定年も60歳。
60年を経てもその定義は変更されていないんですよね。
そう考えると、人生設計が60歳では終わらず、100年生きることを見越した
人生設計やキャリア設計が必要になるはずなんですが・・・。
そいえば、人生のタイムラインを書いてもらうワークの前、「何歳まで生きたいか?」
という質問をしても最近は80歳や100歳という人たちが増えてきました。
それだけ長寿命化した社会であることは意識にあるということでしょう。
「終わった人」が外的キャリアをどう人生を着地させていくか・・・
仕事(外的キャリア)に依存していればいるほど、ソフトランディングは難しそう。
内的キャリア(人生の質:QOL)もその都度見直しをかけながら生きている人ほど
ソフトランディングはうまくいくのかもしれません。
内館さんは、人生は帳尻があうものだ・・としていましたが。
キャリアとは、その人の生き方、生き様です。
この本の中で出てくる「離婚」ではなく、「卒婚」というのも結構素敵だなと思いました。
おもしろいし、切実でもあり、切なくもあり考えさせられる面白い本です。
夫婦中がちょっと・・・って方たちも読んでみると上手く解消されるかも。
責任は持ちませんが。
今日もブログに来て頂きありがとうございます。
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